「・・・土方君」

 手にいっぱいの本を抱えながらえっさこいさと部屋まで運んで来た山南。廊下に山積み本を一旦置き、部屋へ入るために障子を開けてみると、開けた先にはこの部屋には居ないと思っていた男が横になって寝ていた。

「お、やっときたか?」

 うぅーんと一伸びする。その男ー土方は何食わぬ顔で居た。

「何で私の部屋に居るんですか?」

「あ、あんたに聞きたい事があったんでな。部屋にきてみりゃあんたは居ないし、源さんの話しじゃちょっと出かけたって聞いたから、部屋に邪魔してた」

「そうでしたか・・・それはすみませんね」

「全然すまなさそうな顔じゃねぇーな」

「で、用件はなんでしたっけ?」

 廊下に置きっぱだった山積みの本を抱え直して部屋へと入った。土方の言葉は完全にスルーだ。文机の上に山積みの本の半分を置き、残りの半分は、隣へと置いた。そんな山南の動作をなんとんく眺めている土方。

「ここのここん所がな・・・」

 と、懐にしまっていた書簡を出して山南に聞き始めた。




 ふと、土方の髪の毛を見てみると、何かがついている。よくよく見ると、土方の髪には畳に横になっていたために畳の破片が付いていた。今、山南に真剣な顔で話している土方。本人はいたって真剣なのだが、髪に破片がついていると知ってしまえば、ついついにそこに目がいってしまう。

「なんかしたか?」

 そんな山南の視線に気付いたのか、土方がいぶかしんだ目を向けてきた。

「あ、いや、なんでもないです。続けてください」

「・・・うんでだ、ここがな」

 疑いの目を向けながらも、土方は続けた。
 その後も、山南は土方の髪についた破片が気になってしかたがない。
 真剣に話しをする土方。かたや、髪についた破片が気になってしょうがないのと先ほどから笑いたいのを我慢している山南。そんな山南のそわそわしている感に先ほどから気付いている土方。
 土方の堪忍袋の緒が切れた。

「あんた、さっきからなんなんだよ!!・・っ!?

 土方がガバッと立ち上がり、山南に抗議すると、そのはずみで髪についていた破片がポロリと落ちた。
 それを見た山南は、耐え切れなくてなって笑い始めた。




「山南さんよ・・・あんたも人が悪いね」

「いや、そういうわけじゃなかったんですよ?・・・フフフ」

 盛大に笑った山南。そんな山南を見たこともなかった土方は、暫しポカァーんとしていたが、自分が今まで山南に変な姿を見せていたのを理解して、顔を真っ赤にして「笑いすぎだぁーー!!!」と、大声で叫んだ。

「笑いたきゃ笑えよ・・・」

「いえ・・・フフ、もぅ大丈夫です・・・フフ」

 そう言いながらも、山南の顔はまだまだ笑っていた。




人が悪い。