冬のお題 『雪』


ここ数日、晩の冷え込みが激しかった。
もうそろそろ雪が降るだろうと、山南が言っていた。
その山南の発言から2日後、江戸の町に初雪が降り始めた。

「山南さんの言った通りだ、雪ですよ!」

沖田や原田は雪だ雪だと庭ではしゃぎ、近藤、井上はそんな子供達を縁側で寒い寒いと言いながら微笑ましく眺めていた。
そんな中、雪が降ると言っていた山南は、土方の部屋に居た。火鉢の炭をいじりながら、隣で縮こまっている土方をクスクスと笑った。

「なんだよ、悪いか?俺は、寒いのが嫌いなんだよ!!」

“苦手”と言わないのが土方らしい。

「いいえ、別に。人には得手不得手がありますから…」

「俺は“苦手”なんじゃなくて、“嫌い”なだけだ!!」

「そういう事にしておきます」

ブスリと機嫌を悪くする。

「子供ですか?」

「子供で悪いか?なら、子供らしい事をする」

そう言い張り、土方は山南の腰に両手を伸ばし、がっちりと掴んだら、今度はグイッと自分の胸の中へと抱き込んだ。

「これが子供のやる事ですか?」

「子供は親から暖を取るんだぜ?」

「それは貴方の言い分でしょう?」

「細かい事は言うな。…このまま寝るか…」

そう言い、山南をがっちりと掴んだらままゴロリと横になる。

「ちょ!!土方君!私にはまだやる事が!!」

「うんなもん後回しだ。寝るぞ」

土方は、近くにあった掛け布団を器用に足で引っ張ってきた。

「土方君!誰か入って来たら…」

「総司に言ってある。急用以外は呼ぶなって」

「っな!?」

何故か用意周到である。そんな押し問答をしていると、次第に山南の瞼が重くなる。
最近、寝付きが悪くてろくに寝ていなかったが……けど、仕事が……。

「やまなみ」

土方が優しく呟いた。その声を聞いただけでも山南の意識は途絶えそうだった。

「おやすみ」

ことさらゆっくりと呟いた。次の瞬間には、山南の体から力が抜けた。

「……」

規則正しい寝息が聞こえてくる。どうやら寝てくれたらしい。

「心配かけやがって」

最近、山南がろくに寝れていないのは知っていた。
沖田や藤堂から聞いたりしていたし、土方も気付いていた。
本人は隠そうとしていたが、敏感な沖田にはバレバレだったし、土方も最近の山南の行動を見て薄々気付いていた。
これ以上長引いて体調が崩れてもらっても困るので、土方が無理やり寝かせる作戦へと出た。

「あんたが倒れたら、誰が代わりをすると思ってんだ…」

すぅすぅと眠る山南にぼやきながら、土方も眠り始めた。

人肌は暖かいな…。

そんな事を思いながら、土方も意識を手放した。
外は、白い化粧を施したかの用に白一色となり、寒さを増していたが、土方の部屋は、まだまだ冷えそうない。