「ほら、やるよ」

 そう言って土方が山南に投げ付けたのは、何やら紙袋にラッピング用の花を付けた物だった。

「…何ですか?これ」

「開けてみりゃ分かるよ」

 いぶかしみながらガサゴソと袋を開けると…。

「…ルームシューズ…ですか?」

 袋から出てきたのは、今流行っている室内靴だ。
 寒さしのぎにと、家の中で履く靴が巷で流行っているらしい。

「あんた、寒い寒いって、毎回言うだろ?それ履いてりゃ少しは違うだろ」

「ありがとうございます。わざわざラッピングまでして」

「そのラッピングは、店員が勝手にやったんだよ!あんた、足小さいだろ?店員が勝手に女だと思って頼んでもいないラッピングしたんだよ!私からの気持ちですとか言って」

 山南の足は小さい。土方は27センチだが、山南は23.5〜24センチだ。物によっては23センチでも入る。

「すいませんね、足が小さくて。…土方君…買うとき、相当ニヤついてたんじゃないんですか?」

「はぁ?」

 山南の発言にあきれる。

「よくありますよ。買い物中にニヤつく土方君を。前にメールで沖田君も言ってましたよ。歳さんたまにニヤつくって」

 あいつ…いつの間に山南とメアド交換してんだよ!!てか、ニヤつくニヤつくって…。

「俺、そんなにニヤついてる?」

「はい」

 即答。

「そんなら、原因の半分は山南さん。あんたにあるな」

 ズイッと山南へと指を指し、ニヤニヤと笑っている。

「私に?…土方君、顔がニヤついてます」

「うっさい。あんたの事を考えると、ついついニヤつくんだよ」

 いたずらっ子の顔をしながら、本人の目の前で。言われた本人は

「…」

 目を見開いて、土方を見ている。見ていたら、途端に顔を真っ赤にして、俯いてしまった。
 そんな山南の反応を見て、土方の頬は緩みっぱなしだ。

「山南」

 土方が山南を抱きしめて、耳元で呟いた。

「…何、ですか」

 顔を真っ赤に染めながら、土方の手に自分の手を重ねた。

「好きだ」

「…」

「好きだ」

「しつこい」

「ふ。…履いてみろよ、それ」

「サイズ、大丈夫ですか?」

 シューズを持ちながら土方に確かめる。

「23〜24ってやつを選んで買ってきたから大丈夫だよ。お、やっぱり俺のセンスに狂いはなかったな」

 一人ご満悦に笑うと山南を抱きしめた。

「ありがとうございます」

 緑を基調としたチェック柄の落ち着いた感じの靴である。
 山南の髪の色と同じだ。

「暖かいですよ、これ。土方君も履きましょうよ」

「暖かそうだな…今度買いに行くか、あんたも一緒に」

「私もですか?」

「あぁ。あの店員に俺の彼女はこいつだって言ってやんだよ」

「な!?何を言ってるんですか!!大体、私は女じゃない」

「わかってるよ。ハニー」


 山南の鉄槌が下ったのは言うまでもない。





ルームシューズ。