「「「あけましておめでとうございます!!!」」」


 事務所では、新年のお祝いのために身内でパーティーを開いていた。

「沖田君、藤堂君、原田君、斎藤君、水葵君、鈴木さん」

 名前を呼ばれた6人は山南の方へを振り向いた。

「はい、お年玉。大切に使ってくださいね」

「「「ありがとうございます!!」」」

 6人は嬉しそうに山南からお年玉袋を貰った。

「お、山南さんは気が早いな」

 近藤が酒をちびちび飲みながら近くに置いといた鞄からお年玉袋を出した。

「おいで、おじさんがお年玉をあげよう」


 どこの叔父さんだよ、


 隣でちびちび飲んでいた土方が心の中で突っ込んだ。

「ありがとうございます」

 水葵が袋をもって山南の方へと近づいた。

「山南さん、少し質問してもいいですか?」

 周りはどんちゃん飲んでいた。
 藤堂は彼女の鈴木といちゃいちゃし、原田は自慢の腹にある傷を永倉に見せ、永倉と沖田はその腹に墨で顔を描いて遊んでいた。
 近藤、井上、土方は、ちびちびと酒を飲んでいる。飲んでいるが、土方は時折ちろちろとこちらを見る。どうやら山南と何か約束事をしているらいし。山南の態度を見ればわかる。ぐずぐずしている子供をなだめるような眼差しを土方に向けているからだ。

「何ですか?水葵君」

「いや、ちょっと気になったことなんですが。何でお年玉って贈るんですか?」

「お年玉ですか・・・。お年玉と言うのは、正月に新年を祝うために贈答される品物のことです。現在では子供に渡すお金のことですが、地方ではお金のかわりにお菓子を渡すこともあるそうです」

「お菓子ですか・・・私の故郷は普通にお金を貰ってました」

「まぁ、大抵は小さい子に対して・・・だと思いますけど。お年玉は、大抵は目上の者が目下の者に贈るのが通例です。これをもって年の賜物であるから「としだま」という名がついたと言われています。目上の者からと言いますが、最近では感謝の気持ちとしてお年寄りにあげるのもあります」

 ここで一旦話を止めた。

「まだ聞きます?」

「はい。山南さんの話しは勉強になりますから」

「わかりました。そもそも、「たま」とは、「たましい」のことであり、「としだま」とは新年を司る年神への供え物の下げられたもののことであると、民俗学的には説明されています。供え物には祀った神霊の分霊が宿るとされ、それを頂くことにより、人々は力を更新して新たな一年に備える。そう聞いています。年玉の習慣は中世にまで遡り、日本では、武士は太刀を、町人は扇を、医者は丸薬を贈っていたそうです」

「へぇー山南さんはやっぱり物知りですね。尊敬しちゃいます」

「私の知識なんて本から教わったものばかりですよ。水葵君も本などを読めば直ぐに覚えますよ」

「そうだといいんですけど。私、暗記苦手ですから」

 二人の間にクスクスと笑がおこった。

「さてと、私は、そろそろ辞しますね」

「山南さん、もう行くのかい?」

 近藤が気付いて声をかけた。顔はもう酔っ払いだ。

「えぇ、ちょっと所用があるもので。では皆さん、よいお年を」

 そう言って、山南は事務所を後にした。
 山南が出て行った扉を見ながら、水葵は、何となく目線を土方へと向けた。

「!」

 目と目があった。
 あった瞬間に土方は直ぐに目線をずらした。


 やっぱり山南さんの所用は土方さんか・・・。


 そう確信してから、水葵は何も見なかったことにして、原田達の方へと行って、一緒に騒いだ。

 数分してから、土方も「女と約束がある」とか何とかと行って、出て行ったのは言うまでもない。





お年玉。