|
―北の山 山の南や 春の月
土方が文机に向かっていた。
右手には筆を持ち、左手には趣味の俳句帳を開いて何やら筆を走らせている。
「…」
真剣な目付きで俳句帳を見る。と、後ろから声がした。
「北の山 山の南や 春の月」
「!?」
「土方君らしい句です。貴方の素直な言いが句に出ている」
恐る恐る後ろを振り返ると、そこには腕組みをした山南がいた。
いつものニコニコ笑顔を引っ付けて。
「…?」
土方が眉間にぎゅうぎゅうと皺を寄せ、山南を見上げる。
背は、土方の方が頭1つ分背が高いが、座れば山南の方が高い。土方が猫背だからだ。
「人の後ろに立って勝手に詠んでんじゃねぇ!!」
顔が真っ赤である。
ふと、目が覚める。
あぁ…懐かしい人を見た。
ぶるりと体が震える。
ベットからおり、窓を見た。
雪が降っている。
はぁっと息を吐く。白い息が出て、窓硝子が曇る。
あれから何年が経った。
今の自分は何をしている。
ただただ死に場所を探して闇雲に進んでいるだけではないか?
窓の外にある空を見る。
「なぁ…山南さん。あんたが見ている未来(そら)は何色だい?」

未来(そら)の色。
|