「山南さん」

 土方が会議を終えた部屋から出て行った山南を廊下で呼び止めた。

「どうしたんだい、土方君」

 歩みを止め、土方の方を向いた。腕組みをしたまま、いつものように微笑み返す。

「あんた、怪我してるだろ」

山南の眉がピクりと反応する。

「何のことでしょうか?」

「あんたの左袖。血がついてる」

「!」

 山南がバッと袖を見ると、そこには少しだが、血がついていた。

「右腕の、どこを斬られた?」

「平助には、隠すことが出来たんだけどな・・・やはり、君には無理か。場所を変えませんか?ここは、人通りがありますから」

「俺の部屋に来い」

 そう言って、土方は足早にその場を後にした。山南は、その後ろから無言で付いて行った。




「かすり傷ですよ」

「見せろ」

 渋々、と言った感じで傷を見せる。
 右の二の腕の辺りに雑に包帯が巻かれていた。ちゃんと止血をしていないためか、包帯全体に地が染みている。

「・・・」

 血に染まった包帯を取り、パックリと切れた傷が出てきた。
 ちゃんとした処置をしていないために、傷からは未だに血が出ている。消毒のために酒を吹きかけた。

「っ!!」

「少し我慢しろ。化膿しないためだ」

 止血のために布を当て、包帯をきっちりと巻いた。

「ありがとうございます」

「日常生活には支障はないが、暫くは刀を握んない方が良いな。傷が開いたら意味ないからな」

「分かりました。それでは」

「山南さん」

 立ち上がりかけていたのを一旦止める。

「あんたに居間ここで潰れられたら困る。何かあったら、俺に言ってくれ」

「・・・」

「それだけだ」

 頬っぺたをガシガシと掻く。土方の照れ隠しだ。

「はい、分かりました」


 山南と土方が親交を深めるのは、もうちょっと先の話し。





気付く気付かない。