「…結局俺には、連中だけか……」


 柘植を乗せたヘリが空高く上がっていく。無数の渡り鳥が飛び掛かっている。


 羽が舞落ちる。


 おとぎ話しのようにはいかないか…。


 ―そう思った時。


「後藤さん…」


 待ち焦がれていた思い人がそこにいた。






「柘植と行ったんじゃなかったの?」


 驚きと嬉しさが入り混じっていた。彼女を見定めた瞬間に抱き寄せ、キスをした。彼女は一瞬驚いたが、受け入れてくれた。


「行こうと思った。思ったけど、貴方が待ってると言ったから……」


 後藤にはそれ以上の言葉はいらなかった。


 渡り鳥が鳴き声をあげながら群れをなし、上空を旋回しながら回っている。その後には、羽が二人を祝福するかのように舞っていた。





ごとしのお題.16 『おとぎ話』