「ねぇ、遊馬」
海に揺られながら泉 野明は、無線で篠原 遊馬に話しかけた。
「うん、どした?」
何時ものひょうひょうとした声で答える。
野明は、その声を聞いて少し気が楽になった。
「あたしたち、間違った事をしてないよね?」
「なんだ、いきなり」
「…だって」
「確かに、一歩間違えれば俺達は皆犯罪者だ。方舟を破壊したな」
「犯罪者」
と、言う言葉を聞いてビクッとする野明。
「だが、やすやす俺は犯罪者なんぞになるつもりもないし、なる気もない!!俺達は、これから自分達が導き出した結果の処理をしに行くんだ。」
「結果の…処理」
遊馬が言った事を繰り返す。
「そうだ、方舟が実際に帆柱が作った“ウィルス”の起動源となるなら、俺達はそれを阻止しなければならない。」
何時にもまして、真面目に話す。野明もどこと無く緊張していた。
「阻止出来なければ、東京もろとも俺達もそこまでってことさ。」
なんとも最後は簡単に終わらせた。
簡単に言っているが、言わばこれは日本と言う国の存亡に関わる事でもあった。
「失敗したらそこまで、俺達のクビは免れないし、悪ければ、牢屋の中だな」
「……」
黙り込む。
大好きなレイバーに乗れるこの仕事は好きだ。だが、その好きなレイバーで今から犯罪者にもなりかねない事をこれからやりに行くと思うと、心が自然と重くなる。
「おい!!そんなに暗くなるなよ、大丈夫だって、俺を信じろ!!帆柱は絶対に仕掛けてる、じゃなきゃわざわざ自分から死にに逝かないさ」
「…うん」
「野明、俺の言が信じられないのか?……フォワードとバックアップは一心同体」
「操縦担当は指揮者に従うべし」
「だろ?」
ニヘラと、笑う。
なんか……気が楽になったからも。
「えばりやがって、けど、遊馬がそう言うなら……なんか信じられる」
「“方舟”が見えて来ましたよ!」
進士 幹泰が無線で全員に伝えた。
「野明、何時までも悩んでいられないぜ、これから特車二課の一世一大の大イベントだ」
「うん、こんな事、誰も出来ないよ」
てか、しねぇし、できねぇーよ。
心の中で突っ込みをいれる遊馬。
野明は何時もの笑顔をしていた。
遊馬も、それを見て安心していた。
遊馬は、無線を使って全員に言った。
「気を引き締めて行くぞ!!」
「「おう!!」」
それぞれが思い思いの事を胸にしまいながら“方舟”へと上陸したのであった。
これから待ち構えている困難など知らずに。

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