「何で刀を余り抜かないんだ?」

 それは、突然に問い掛けられた。


「前から思ってたんだよ、あんたさ、戦いの時には刀抜くけど、自分からはあまり行かないよな?それって、あんまり腕に自信が…ないってわけでもないよな?そこら辺にいる武士よりも腕はあると思うが」

 よく喋る口だ。

 竜導の問い掛けを隣で聞いてそう思う。

 刀を握らないか……。

「で、そこんとこどうなの?」

 興味津々に聞いてくる。小笠原は、たまに思う。

 この男は本当に私よりも年上なのか?と。

「抜かないですむなら、私は進んでは抜きたくない、武力による解決はあまり好きではないからな、武力以外での解決方法もある」

 甘い考え方もしれない、けど、小笠原らしい考え方だとは思う。

「甘い考え方だと思っているのか?」

 返事が返って来ないので小笠原がきいた。
 小笠原の膝の上で寝ていた白雨がにゃーと、鳴き声をあげた。
 その声に答えるように小笠原は白雨の頭を撫でた。それが気持ち良いのか、白雨はご機嫌な声でまた鳴いた。

「あんたらしくていいんじゃないか?俺は好きだぜ?そういうふうな考え方は」「ふん、…お前に言われてもな」

 白雨が膝から飛び降り、外の方へと向かって歩いていった。
 それを合図としたのか、小笠原が立ち上がり始めた。

「私は、まだやることがあるから戻る。お前は宰蔵の手伝いをしてくれ」

 歩き出しながら言う。

「へいへい」

 髮をガシガシとかきながら返事をする。
 どこか、めんどくさそうに見える。

「返事は一回にしろ」

 振り返って注意をする。

律義な男だ。

「へーい」

 竜導の生半可な声の後に、小笠原の叱責が聞こえるのはいつものこと。

 ま、あんたが進んで刀を抜かないんなら、その分、俺があんたの背中を守ってやるぜ?

 放三郎。





白雨-抜刀。




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