うっすらと目を開けた、ような気がする。

「…」

 朦朧とした意識の中で、小笠原は、自分を見ている男を見た。

「――」

 竜導。
 と、言いたかったが、言葉には、ならなかった。
 次に目を覚ました時は、自分の部屋にいた。

「……」

 すぅーはぁーと呼吸をし、今自分がどのような状況にいるのかを考え始めた。スゥーと、
 襖が開く音が聞こえ、入って来たのは

「…あ、目が覚めたんですか?」

 宰蔵だった。

 その日は、熱のせいでずっと寝たままだった。
 次の日は、熱も下がり、どうにか起き上がる事ができた。
 その間、いろいろと世話をしてくれたのは、宰蔵だった。
 倒れてから二日目からは、起き上がれるようになったので、自分でやると言ったが、宰蔵は頑として退かなかった。
 何時ものように、宰蔵が身の回りの事をやり、部屋から出て行く。
 宰蔵が部屋から出て行ったのを見計らったのかのように、白雨がどこからともなく来た。

「白雨か、久しい」

 そう言い小笠原は、近くまで来た白雨を抱いた。
 白雨も嬉しそうにゴロゴロと、小笠原に甘える。
 しばしそうしていた。
 ふと、白雨がぴよんと小笠原の膝から飛び降り、とてとてと襖に向かい、襖を開けて閉めて出ていった。

「……」

 猫というものは、案外起用なのか?と、思いながら近くに置いてあった書物を手に取り読み始めた。
 切り替えが早い小笠原であった。
 その後は、いつもとかわらない日常を送り、今にいたる。
 そういえば、一回、白雨が宰蔵に取っ捕まっていたな…確か……「お頭は今静養中だから、白雨は私と一緒に…」とかなんとか。
 あの時の白雨は…なんと言うか…表情が人間でいうと「チッ!」に近い表情だったと思う。
 まぁ何はともあれ、小笠原の静養は無事に終わった




風邪のひきはじめ-2